NEW!OB紹介 竹内 恒陽さん(四万十町地域おこし協力隊OB)

竹内 恒陽さん
四万十町地域おこし協力隊OB(2019年~2022年)

〈現在の仕事・生活〉

四万十町役場職員 (担当課:教育委員会)

協力隊に応募した理由・応募した地域を選んだ理由を教えてください

 妻の祖母のふるさと、四万十町の山奥「栗ノ木」という場所で滞在した際、心落ち着く緑と川の中で見た「あゆの群れ」が印象的でした。どこか自分の過ごした愛知県豊橋市の田園や海など自然の豊かさが思い出され、父がきっかけで趣味になった魚釣りも存分に子どもたちとできる理想の場所だと感じました。

 祖母の家が空き家になってしまうことを聞き、豊かな自然に寄り添った暮らしと子育てを実現すべく、妻と2人の子どもと移住を決意しました。県のUIターンサポートセンターの移住コンシェルジュに相談する中で、地域のことを何も知らないと気づき、自分が暮らす地域のことを知りながら働いていきたいと思ったことが協力隊に応募したきっかけです。

任期中の主な活動内容と印象に残っていることを教えてください

 太平洋に面する志和地域の観光振興がミッションでした。約150人の地域の中での観光・地域振興では、乱獲により野生株が激減し、地域住民が守ろうと取り組んでいる「ガンゼキラン(岩石蘭)」をまずはPRしようと思った矢先、コロナ禍が訪れました。

 人と会えない日々の中で、片道1時間半の山奥での道づくり、会える時は開かれる会などすべてに顔を出し、ランの保護柵等の設置を共に行い、関係づくりに励みました。厳しい状況のように思いますが、とにかく地域の人の良さと自然豊かな環境での活動に、感謝の気持ちを感じながら日々を送りました。

 2年目は少しずつ人と会えるようになり、コミュニティ作りを行いました。地域の体育館を活用し、自分の得意な卓球を地域の方と定期的に行いました。多い時には30人ほど集まり、「楽しい!」と喜んでもらったことが印象に残っています。

 観光振興というミッションの中で、自分の姿勢や行動が地域住民に伝わり共に地域のことを盛り立てていけることを感じました。そこで心がけたのは『振興を意識するよりも、地域の祭りや行事等を住民の一因となり取り組む』ということです。暮らしの中に自然と自分自身が溶け込むということが大事だと思いました。

〈任期中の悩みや課題、それに対して取り組んだことを教えてください〉

 大きな悩みは特にありませんでした。任期1年目に「どうせ帰るんやろ?」と何気なく言われたときに、これまでの四万十町内での協力隊と地域の方々との関係性の一端を感じることがありましたが、何よりそこに暮らす人が好きになっていったので自分も変わらず活動を続けました。

 ショウガ等の農作業や、漁、海に潜っての「磯焼け」(増えすぎたウニが海藻を食べつくしてしまうこと)の被害防止作業など、様々な日常を共にする中で、地域の人も自分の行動を見てくれているということを実感し、少しずつ関係ができていきました。今振り返ると、ありのままの自分で、少し肩の力を抜いて、その地域で「暮らす」ということが改めて大事だと思います。

任期後の仕事を選んだ理由を教えてください

 四万十町で暮らしていくことが決まっていたので、カヌー等の自分の好きなことや得意なことを活かしたアウトドア事業の起業も考えましたが、仕事にすることは選びませんでした。夏のアウトドア事業は冬場の収入が不安定になること、夏場のハイシーズンには家族との時間が十分に確保できないこと等が理由でした。

 町内で自分の3年間を活かしながら働けることを考えた結果、役場職員という選択が良いと決断しました。3年間の活動は町に暮らす当事者として課題解決に向き合うことに活かされ、町民の皆さんの顔を浮かべながら仕事ができることに、やりがいを感じています。

 また、地域おこし協力隊担当課だった頃は、現役の隊員により寄り添えるということも、自分にできることだと強く思いました。3年間をこういう形で活かすことができる、役場職員という選択もぜひ皆さんにおすすめしたいです。

現役の協力隊にメッセージをお願いします

 気楽に、ある意味もっと「鈍感」に。気を張りすぎずに地域の人たちの中に飛び込んでいってみてください。『地域をおこさなくてはいけない』ではなく、『自分もその地域に暮らしている』という感覚でいると、自然と地域に溶け込めるようになると思います。でも、勇気が出ないなと思うことがあったら担当課の方や、とさのねの皆さんなどへ相談をしてください。自分だけではわからない地域の人との距離感等、相談することで一緒に考えていくことができます。

〜取材を終えて〜

 自分自身や家族、そしてまわりの地域の方々との暮らしを大事にされていることを、竹内さんとお話をして一番感じました。時に無邪気に、今もずっと続いている地域の方との関係やエピソードを話される姿に、自然と少しずつ関係ができていったのだろうなと思いました。竹内さんのような、地域の人にも、協力隊など移住者にも寄り添える方が役場職員であることは、とても心強いことだと思います。同い年ということもあり、生き方に大変刺激を受け勇気が湧いた取材でした。

2025年12月時点 取材担当:森岡千晴