OBインタビュー 日野直宏さん(いの町本川地区地域おこし協力隊OB)

日野 直宏さん
いの町本川地区地域おこし協力隊OB(2016年~2018年)

〈現在の仕事〉
いの町本川(ほんがわ)総合支所の会計年度任用職員として道路の維持管理などを行う傍ら、有害鳥獣駆除などの副業や区長、地元中学校のPTA会長などさまざまな役を担っている。

〈いろいろなタイミングが重なり高知へ引っ越すことに〉

 東京で引っ越し屋の仕事をしていた時に身体を壊し、同じタイミングで高知に住んでいる妻の親も体調を崩していたので、高知県に行こうという話が上がり、仕事を探していたら協力隊のことを知り応募しました。

 山のほうに引っ越そうと思い本川地区を選んだけれど、高知でこんなに雪が降るとは思わずびっくりしました。

 引っ越す前から、妻の仕事の紹介など住民の方にはお世話になり、今思えば、自分たちがここに来ることに対する期待感みたいなものが、住民の方にはあったのかもしれないですね。

〈まずは本川住民全員と知り合いになることを目標に〉

 家族5人で本川に引っ越し、協力隊としてはフリーミッションで、有害鳥獣駆除や地域行事への参加、集落活動センターの手伝いなどを経験しました。

 はじめは本川地区の住民全員(当時400人弱)と知り合いになることを目標に、地域行事や飲み会などにも参加。また、移り住んですぐに狩猟免許を取得したおかげで、狩猟関係の仲間ができ、駆除してほしいという声をきっかけに、地域にも知り合いを増やしていきました。

 土地のことも知り尽くしたいという気持ちと、協力隊の勤務外の時間を有効活用したいという考えから、地域の人の紹介で国有林の管理経営を行う嶺北森林管理署で臨時職員としても働いていました。事務などの内勤もありましたが、鹿の駆除や国有林の管理の手伝いなどで外に出ることも多かったため、この辺の土地はほとんど知り尽くすことができました。

〈地域に住むってこういうことだな〉

 退任後は、任期中に働いていた森林管理署で臨時職員として働いたのち、町の住民バスの運転手として働き、現在の仕事に至ります。

 本川地区は人がいないし、年齢的にもいろいろな役がまわってくるので、区長やPTA会長のほかにも、県の会計年度任用職員として区域内の猟の監督的役割を務める鳥獣保護管理員や、本川漁協組合の理事や消防団など、他にもさまざまな地域の役割を担っています。

 子供がいたからPTAにも誘われましたし、組織に入ることで人間関係が広がりました。大変だけど、自分の住む地域だからがんばろうと思うし、「地域に入る」ってこういうことだと思います。

 本川に来た当初から狩猟は続けているけれど、これを本業にしたいくらい楽しいです。でも周りに狩猟を本業にしている人は少ないし、収入が安定しないので本業にするのは難しいのが現実です。

 今後もここを離れるつもりはないけれど、子供の進学で出ていく人が多いので、今後もここを離れるつもりはないし、収入の問題がなければ今の暮らしを続けていきたいです。

取材を終えて〉〉

 地域には様々な組織があってその役割を担う人材も不足しており、日野さんのように沢山の役割がまわってくることもあります。移住した人がここまで多くの役割を担っているのは珍しく、日野さんは「ただそこにある仕事をしているだけ」とお話されていましたが、こうして地域の大切な役割を任されるのは、日野さんが数年かけて築いてきた信頼の現れだと感じました。

※この記事は2024年1月時点の情報をもとに作成しています

取材担当:大原