OBインタビュー 寺岡雄大さん(越知町地域おこし協力隊OB)

寺岡 雄大さん
越知町地域おこし協力隊OB(2014~2016年)

〈現在の仕事〉
越知町役場会計年度任用職員、寺岡商会(アメゴの養殖販売、請負業、ハーブ栽培)

〈農業がやりたくて高知県の市町村を訪問〉

 大阪でプログラマーの仕事をやっていた頃、身体を壊したのがきっかけで農業をやりたいと思うようになりました。当時移住に力を入れていた高知県が目につき、県内の役場を家族で訪ね回りました。

 その時に、越知町の職員が熱心に話をしてくれて、そこで協力隊制度のことを知り越知町に移住することを決めました。

〈「やりたい事」と「やっている事」がかけ離れていった3年間〉

 フリーミッションだったので、まずはオクラやピーマンなど様々な農作物を作ることに挑戦しました。

 しかし、当時は町が協力隊制度を活用し始めたばかりで手探りな部分もあり、イベントの手伝いや観光地の整備、農業の手伝いなど人手が足りないところへの仕事の依頼が多く、それに対応していたらいつの間にか畑に行ける日が少なくなっていきました。でも、任期中に色々な作物を試しに作るいい機会になったと思います。

〈任期後は季節労働を組み合わせた働き方を〉

 任期後は個人事業主として「寺岡商会」を立ち上げ、アメゴの養殖やハーブの栽培、夏は草刈りやカヌーガイドの補助、冬は大工や土木の仕事の補助を請負業として行っています。

 その他にも農業の手伝いや観光協会のアルバイトなど、退任後8年間でさまざまな季節労働を組み合わせながら働いてきました。色んな仕事をするほうが刺激があって、自分の性に合っているかもしれません。

 現在は越知町の会計年度任用職員をしながら、去年から橙(ダイダイ)という柑橘の世話も始めました。収穫時期に人手が必要な作物なのですが、移住して11年目で知り合いも多くなり手伝ってくれる人も増えたので、やっと自分のやりたいことができる環境が整ってきたと感じています。

〈寺岡商会の仕事を分け合ってみんなのお小遣いに〉

 橙(ダイダイ)の栽培は自分のなりわいを作るためですが、手伝いに来てくれる人のお小遣い稼ぎの機会を作ることにもなります。そんな機会を他にも作っていこうと、これから仲間と一緒に里山整備の事業を始める予定です。

 みんなやりたいことがあって移住してきますが、最初はお金に苦労することもあります。そんな人の生活の助けになるような仕事や情報が集まる場所をつくりたい。人のつながりが、より快適な暮らしにつながるんじゃないかと思います。今後もみんなの生活が少しずつ良くなるようなお手伝いができたらいいですね。

〈これから協力隊を目指す人、現役の協力隊員へ〉

 まずは仕事を選ばず色んなことをやってみるのも大事だと思います。アメゴの養殖や橙の栽培は人からの紹介で、既にあるものを引き継いだ仕事です。

 誰かの「やってほしい事」が転がり込んできた時、仕事を選ばず色々やってきたことが人とのつながりをつくり、後々活きてきたんだと実感しています。

〈〈取材を終えて〉〉

 移住して11年目の寺岡さん。「最初は農業をやりたくて来たのに、まさか魚を飼ったり山の仕事をすることになるなんて」と笑っていました。

 思い描いた移住生活とかけ離れて悩む時期もあったと思いますが、転がり込んでくる事を受け入れながら、自分のやりたいことができる環境を整えていくのも、移住後のひとつの暮らし方だと思います。

※この記事は2024年8月時点の情報を掲載しています

取材担当:大原 梓