NEW!近藤 由里さん 高知県中山間地域対策課(出身:東京都 着任期間:2024年2月~)<br/>ミッション:マルチワークづくりサポーター

協力隊に応募した理由、応募した地域を選んだ理由を教えてください

 協力隊になる前は東京で医薬関係の仕事をしていました。サラリーマンとしてバリバリ働いていましたが、ワーキングホリデーなどを使い海外を転々とする生活を経験したこともあり、いつかはまたそんな生活もしたいなという気持ちが心のどこかにありました。

 そんな中、人生を見直すきっかけがあり、「人生一度きりだからやりたいことをやろう。人生で今日が一番若いんだから今やらなくていつやるの!」という気持ちが湧きたち、さっそく「JOIN移住・交流&地域おこしフェア」に足を運びました。

 最初はブースに座るつもりはありませんでしたが、高知県の市町村のブースで声を掛けられ、その人の好さに吸い込まれるように座り、話を聞く中で地域おこし協力隊というワードを初めて聞きました。

 その後、地域と協力隊のマッチングツール「みらいと」で地域を探したり、実際に訪問したりしている中で高知県庁が募集していた「マルチワークづくり」というミッションに興味が湧き、県内各所を回れる仕事に心惹かれ、高知県中山間地域対策課の協力隊に応募しました。

ミッションの具体的な取り組み内容を教えてください

 マルチワークとは1つの仕事に就くのではなく、同時に複数の仕事に携わる働き方のことです。人手不足という課題に直面する高知県では、1つの事業体では年間を通じた雇用が難しいという課題を抱えた事業者と、田舎で複数の仕事をしながら安定した収入を求める移住者等をつなぐ人材派遣の仕組みとして「特定地域づくり事業協同組合」をつくる支援をしています。組合の設立は、高知県への移住定住を促進し、地域の活性化も期待され、国や高知県としても積極的に取り組んでいる施策の一つです。私の仕事は県の担当職員さんや市町村、関係団体と協力し、組合の設立や運営の支援をすることです。段階としては①組合の設立支援、②組合の職員募集に関する支援、③既存の組合の運営に関する支援で、去年は①が中心でしたが、現在は去年から設立に関わった組合の②、③段階の支援も増えています。

 言葉にすると簡単に聞こえるかもしれませんが、まずは市町村への説明や事業者へのヒアリングなどからはじまり、設立に至るまで1年以上、長ければ2~3年くらいかかることもあります。私が着任してから3つの組合ができましたが、それは前任の職員さんが蒔いた種が実ったということです。なので、私が着任当初から関わった組合が立ち上がった時は嬉しかったです。設立後は電話をして状況を聞いたり、アドバイザーにつないだりしています。今後は、組合の横つながりを作るための情報交換会を開催し、さらなる設立後の組合支援に注力する方向で動いています。

活動中に直面した課題と、その課題に対して取り組んだことを教えてください

 1年目は任期後のことを考えるために情報収集をしたり、地域課題を解決する仕事にもつながる起業セミナーやプログラムにも参加し、多くの情報や学びを得ましたが、逆に自分がやりたいことが決めきれずに焦った時期もありました。そんな時、まずは移住前から続けていたヨガを副業として確立しようと考え、2つの柱を立てて模索していくことにしました。1つは地元、近隣住民を対象に公民館などで開く「地域コミュニティヨガ事業」、これは定例クラスで「地域の保健室」をイメージしています。

 2つ目は「中山間資源を活用したヨガリトリート事業」。日常から離れた環境でヨガに集中し、自分と向き合う時間をつくるための宿泊型のヨガで、これを県外の人向けに実施しようと考えています。この取り組みは高知に人を呼び込むきっかけとなり、田舎で関係人口を増やすことにもつながるのではないかと感じています。今年はトライアルとして、協力隊の研修会で知り合った方の紹介で日高村の茶農家さんとコラボして茶園でのヨガとお茶づくりをセットにした体験会を実施しました。

地域とのかかわりの中で学んだことを教えてください

 協力隊の業務では県や市町村の行政職員、地域の事業者、組合を作るための関連組織の方々と接することが多いですが、もっと地域を知るために県内各エリアに設置されている「地域本部」と呼ばれる行政機関の会にも積極的に参加しています。そこには地域のことに詳しい職員さんもいますし、その会に参加したことで、各地域の歴史や文化を学ぶだけでなく、注力している活動を体験する機会も得られました。3年後の生活を見据えた時に、今の立場を生かして色々な場所を知ることが自分の財産になると思います。

 また、県の官舎が高知市の隣のいの町にあるので、町や近隣市町村の協力隊や移住者とは交流があります。官舎から5分で清流仁淀川にも行けるし、自然豊かな町を気に入っていて、ヨガ事業をここでするためにも町役場や観光協会、町内のイベントには顔を出すようにしています。だんだんと話す人が増えイベントの滞在時間が長くなると、「あぁ、知り合いが増えたんだな」と実感します。また、役場から「このイベントでヨガをやってほしい」と依頼を受けることもあり、「ヨガなら近藤さんに頼もう」というつながりができたことが嬉しいです。

任期後の意向について教えてください

 私は、得られた情報はすべて自分の財産だと思っています。今は組合の支援業務に加え、任期後の生活基盤をつくるためにも情報を集めたり人脈をつくったりする財産稼ぎの時間かもしれませんね。また、そうして得た情報は人にも教えたくなります。高知県の中山間地域には良いところがたくさんあるので、個人的ミッションとしては3年間で30組の友人に高知旅をしてもらうことを掲げています。自分がこれまで訪れた場所や参加した体験などを紹介すると、友人達から「ローカルツアーが楽しい!」と満足してもらい大盛況です。そして自分が訪れた場所でゆくゆくはヨガのリトリート事業もやりたいなと考えています。

 任期後の収入の柱はまだ確定していませんが、色んなところに顔を出してコミュニケーションをとる中で何か見つかるかもしれません。今行動していることが任期後の基盤になるか分からないけれど、そうなることを信じてやっていきたいと思います。

「2025年12月時点」取材担当:大原 梓