●協力隊に応募した理由・応募した地域を選んだ理由を教えてください
住む場所を変えて、自分が何をしてどう生きていきたいかを見つけ、自立するために、知り合いのいた四万十町へ移住しました。
高校3年生の進路選択で、時間をかけて自分と向き合うと、今は大学で勉強したいこと、将来やりたいことが決まっていないと気づき、高校卒業後は、母から勧めのあった堀江貴文氏のオンラインサロンに入会しました。目の前のやりたいことをやれば、その先に将来やりたいことが見つかると信じて、2年間、地方でイベント運営や開催、自分で立ち上げた劇団の公演等に取り組みました。
人との出会いが広がり、刺激的な日々でしたが、将来の仕事やどう生きていきたいかが分からなくなってしまいました。もう一度自分の将来について向き合うために、まず住む場所を変えたいと思うようになりました。この相談をしていた方が四万十町への移住者でした。その方を通じて、何度か四万十町を訪れるうちに、町の人たちがあたたかく受け入れてくれる雰囲気に惹かれ、「ここなら思いっきり挑戦できるかも」と思うようになりました。
知人が教えくれた四万十町地域おこし協力隊について調べると、役場の会計年度任用職員として3年間は雇用され、生活基盤がある上で地域の活動ができ、その活動費と時間があることが分かりました。そこで、移住の一歩として地域おこし協力隊という選択をしました。

●ミッションの具体的な取り組みについて教えてください
移住・定住支援のミッションを担当しています。
【移住相談】
日々の移住相談をはじめ、東京や大阪などで開催される移住フェアに出向き、移住希望者の方に四万十町の暮らしを伝え、相談を受けています。自分も四万十町へ移住した一人であることを伝え、四万十町の暮らしで感じていることや、経験したことなど、リアルな田舎暮らしのことを話し、移住後に大きなギャップが生まれないように努めています。
【移住希望者向けの情報発信】
移住希望者に向けて、四万十町の生活や移住者の紹介、空き家・移住者向け住宅情報などをFacebookや四万十町公式note、YouTube等で発信しています。特に、ここにいないと分からない「暮らし」を伝えることを意識して、地域に足を運び、お話を伺って、町内で食べられる農作物や季節の話題、小中学校の学校行事、地域の紹介などを記事にしています。
【移住者交流会】
四万十町へ移住された方々の横のつながりをつくるために、移住者交流会を企画しています。これまでに5回開催していて、夏には「とうもろこしとブルーベリー狩り」を開催し、にぎやかな雰囲気の中、子ども連れの家族同士が交流できる場ができました。

【地域おこし協力隊のミッション以外での活動】
移住後に訪れた飲食店の店主から、「この店がもうすぐ空き店舗になるので、物件を活用できる人を探している」と聞きました。この話を聞いてチャンスだと思い、空き店舗を活用して飲食店をオープンしようと自ら手をあげました。
自分が移住して驚いた四万十町内の食材の豊かさ、新鮮さを活かそうと、飲食店のオープンに向けてアイデアを練っていきました。町内産の生姜、ニラ、豚肉を使った「餃子」をメインに、夜の窪川地区のにぎわいの場を目指して2023年9月に餃子屋「Tangled」をオープンしました。

●これまでの活動で印象に残っていることを教えてください
地域おこし協力隊着任当初は、人を知ろうと、町内各地へ足を運び、いろいろな人に話かけ、関わるようにしました。もともと、人と話すことに苦手意識があったのですが、「まずは気持ちから」と積極的に地域の人とコミュニケーションをとっていきました。誰かと一緒に行動すると、その人をずっと頼ってしまうので、できるだけ一人で動くことを心掛けました。地域の集まりにお誘いをいただいたら出向き、そして夜は自ら四万十町内のスナックや飲食店を巡り、地域の方との人脈や親睦を深めていきました。
また、移住者インタビューの記事が公開されたとき、取材させていただいた移住者の方が「書いてくれた記事を友達に見せたよ」、「いい記事を書いてくれてありがとう」と声をかけてくださりました。自分の記事を読んで、喜んでもらえたことが嬉しくて、やりがいへと繋がりました。

●活動中に直面した課題と、その課題に対して取り組んだことを教えてください
「Tangled」のオープンは、四万十町に移住して月日が浅く、地域の方とのつながりがあまり築けず、頼れる人が少ない中でのオープンだったので、とても大変でした。地域の方にとっては、「知らない人がやっている店かな」という印象が強かったと思います。そこで、近くの知り合いから知り合いへと頼れる人を見つけたり、地域のイベントで出店をしたりと、まずは地元の方にお店のことを知ってもらうことからはじめました。最初から完璧なオープンではなかったですが、自ら動くことで徐々に人とのつながりの輪が広がっていきました。
活動する中で、時には、厳しい意見をいただくこともあります。自分自身のやりたいという思いと色々な方からの意見を素直に聞くべきところとのバランスが難しく悩んでしまうこともあります。でも、自分で選んで決めたことなので、間違ってもいいから自分で決めて行動して、結果を見て改善しています。それが楽しくて、前向きに続けられています。
●任期後の意向について教えてください
任期後は、四万十町での暮らしを続けていきます。現在は、「Tangled」のお店を軸にオンライン販売を通じての販路の拡大やふるさと納税への出品などを準備中です。新たなことに挑戦し、地域の魅力をさらに発信していきたいです。
移住前に自分が思っていた以上に、四万十町には、新しいことに前向きで、「やってみなよ」と若い人やチャレンジする人を応援してくれる人々がいます。そんな方々がいる四万十町での人との出会いや自然のおかげで、以前より心が穏やかになりました。東京にいたときより、ずっと忙しいですが、自由に自分のペースで活動できて毎日楽しいです。卒業後の漠然とした不安はありますが、大好きな四万十町での暮らしを続けていきたいです。

「2025年10月時点」取材担当:小笠原知美



